2008年2月20日水曜日

新しい皮袋には新しいワインを――ケータイ小説のレゾンデートル

「まただれも、新しいぶどう酒を古い皮袋の入れはしない。…新しいぶどう酒は新しい皮袋に入れるべきである」(日本聖書協会による『聖書』ルカによる福音書:5. 37-38)

ケータイ小説が女子中学生や高校生の間でブレイク中だそうだ。私は読んだことがない。稚拙な文体、稚拙で非文学的な内容などとさぞかつての文学青年や文学少女だったおじさん、おばさんの評価は低いだろうな、とおもうが、これが書籍化され、ベストセラーになり、映画化されるとなると、無視できない。

思うに、インターネットは、とくにケータイインターネットは新しい入れ物である。その新しい入れ物に、古いコンテンツ、昔風の小説や映画をいれたところで、腐ってしまうだろう。デジタル書籍が、思うように振るわないのは、そのせいかもしれない。

あるいは、新しい入れ物ができたからこそ、新しいコンテンツが必要になり、生まれてきたのだろう。

映画だって、最初は第三の芸術だ、と馬鹿にされた。そもそもの小説だって、女子供の読むものだ、と見下されたものだし。それを考えれば、ケータイ小説だって何十年か先には、芸術になるかもしれないし。入れ物とともに成熟していくと思うけれど、どうだろう。

少なくとも、インターネットに押されて瀕死の出版業を救うことはできそうだ。

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