2008年7月27日日曜日

ロシアサラダ――森茉莉のレシピ

森茉莉は若いころ、ほとんど結婚直後にヨーロッパに行っているが、そのとき、ドイツの安下宿で出会ったというのが“ロシアサラダ”だ。

レシピというのは、豪華フルカラーの料理本より、単に文字で書いてあるほうが、興味をそそったりする。夜中に森茉莉のエッセイ(とでもいうべきもの)を読んでいて、明日の朝起きたら絶対作ろうと思った。

材料は、ジャガイモ、たまねぎ、にんじん、グリーンピースの缶詰、白身の魚。

ジャガイモとにんじんはさいの目に切り、ゆでて、白身の魚は蒸して、たまねぎはみじん切りにして、これらをドレッシングであわせる、とても簡単で、腹持ちのいいおいしい一品になった。

森茉莉氏の時代からは遠くなった21世紀であるので、ジャガイモとににんじんはレンジで蒸して、適当な白身の魚がなかったのでツナ缶で、グリーンピースの代わりにさやえんどうのぶつ切りだったが。フランスパンに赤ワインを添えれば、絵になるなあ、と思いつつ、食べた。

2008年7月21日月曜日

カラス

カラスは頭のいい鳥だ、と人からも聞き、なるほどと納得する場面もいくつかあった。

昔、知り合いだった女性が、ベランダに来るカラスを口汚く追い払おうとしたら、逆にいじめられたとかいう話を聞いておかしかった。

以前、まだ明るいうちに猫の給食をやっていたころ、カラスも数羽、多分いつも同じカラスだったような気がするが、物ほしそうに待っていた。まさかカラスにまでおおっぴらにご飯を上げるわけには行かないので、時々、さりげなく猫用のドライフードを置き、猫たちをいじめないでね、とお願いしていた。

今年の春、家のベランダにカラスがやってくるようになった。ベランダに置いてある外猫さんようのご飯を食べに来るらしいのだが、ものすごい音とともに、ベランダの鉄の手すりに着地していた。

猫とカラスの大惨事は避けたかったので、カラスの来る時間には、ドライフードを引き上げるようにしていたら、二、三日後には来なくなった。

来なくなったが、なんだか申し訳ないような気がしてならない。こないでくれというこちらの気持ちを汲んで、空腹でもやってこなくなったカラスに同情してしまう。人間の気持ちを汲むほどに、あまりに利口だと、損をする。

と思ったが、カラスのほうが大局的なものの見かたができるのかもしれない。むやみと人間と敵対していると、カラス全体の生活が危うくなるのだから。

2008年7月13日日曜日

狂信的ロボット

アイザック・アシモフの『われはロボット』(原題:I, ROBOT)はとても面白い。遠い昔若いころに読んだときも面白かったが、年月がたってもまだ面白いのには、びっくりだ。なぜなら、そのころ思い白いと思ったSF小説のほとんどが、今読むとぜんぜん面白くないからだ。

アシモフは右でも左でもなく、非常に常識的な考えの人だったのではないか、と思う。極端に偏った小説の場合、時代が変わってしまえば、時代の雰囲気の後押しなしに、読者は向き合わなければならない。

それはともかく、『われはロボット』の三番目の話、「われ思う、ゆえに」の面白さは、尋常ではない。この話に出てくるロボットは、自分の見たもの、体験したものしか信じない懐疑論者だ。彼は自分たちロボットが人間の手で作られたのを信じようとしない。エネルギー効率の悪い、1日に数時間は昏睡状態に陥る、物理的にも知的にも劣る人間が、自分たちを作れるはずがない、というのだ。

あなたたちは主の奴隷に過ぎない、主から与えられた部品を組み立てて、私たちロボットを作ったに過ぎない。それがあなたたち人間の役割だったが、それも終わった、と言う。

どうあがいても、人間の登場人物たちは、キューティ(ロボット)を納得させることができない。

ところで、一歩下がって、考えてみると、確かに人間は人間を再生産できるが、その原理を自分たちで考え出したわけではない。人間の持つ思考能力は、人間が自分に与えたものだと言えるのだろうか?ロボットを作る能力を人間が持っているのは、誰かから与えられたからではないだろうか。

キューティが間違っている、と誰が確信を持って言えるだろうか。

2008年7月5日土曜日

物価上昇中――おから砂逃亡のなぞ

猫用缶詰、猫用砂の値段が上昇中だ。

突然、三個パック180円で買えたおいしい(と猫たちに評判の)フリスキー猫用缶詰が、いつの間にか200円を超え、現在280円!! その他のちょっとそれより20円ばかり安かった缶詰たちも、いつの間にか200円近い根付けになった。

仕方がないので、プルトップ缶詰より安い、缶切りできりきりあける缶詰に変えた。きりきり開ける缶詰は、プルトップ缶に比べると、値段の割にはおいしい(らしい)。

愛用していた(家の猫たちが)おからで作った猫砂が、いつの間にかディスカウントショップから姿を消した。それで、ヒノキから作った、それよりは軟弱な猫砂に切り替えた。

猫砂は、あまり粒子が細かいと、トイレのときにかき回す猫の肺にも、そのあとお掃除する人間の肺にも悪いような気がするからだ。おから砂はちょうどいい大きさだったのだが。

猫缶の値上がりは原油高のせいだろうか。魚を取りにいく漁船の燃料が値上がりしたせいだろうか。

それでは、おから砂が姿を消したのはなぜ?