2014年6月14日土曜日

猫サンクチュアリ年代記 11:絹の毛皮を着たアンナ


アンナは2002年にすでに大猫サンクチュアリにいた。避妊していたが、まだ二歳に満たないように見えた。小柄で内気な雌猫だった。白い部分の多い白黒猫で、黒い大きな水玉がひとつずつ、頭と背中にあった。尻尾も黒かった。毛皮はシルクのような手触りで、白い部分は汚れのまったくない真っ白だった。

アンナにはボーイフレンドはいなかった。親しい猫はジローだけだったが、ほかの猫ともうまくやっていた。

内気な猫だったので、しばらくは触ることもできなかった。だんだん慣れてきて、寒い冬になると、ご飯の後、ひざに乗ったまま降りようとしなくなった。よほど寒かったのだろう。

アンナは迫害の一番激しかった2006年の5月に疥癬にかかったが、Mさんと私とで薬を飲ませ、回復した。

ジローが死んだのは2006年12月だが、アンナはその翌年、2007年3月、突然いなくなった。アンナは給食のときにいつもいたので、いなくなるなんてことは考えもしなかった。そのうち出てくるだろうと思っていたが、そのままどこかに消えてしまった。

アンナはどこに消えたのだろう。アンナの毛皮のシルクの手触りは、まだ私の手の記憶に残っている。


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