2014年8月2日土曜日

猫サンクチュアリ年代記 18:白い手のソックス


また、自転車置き場の大猫サンクチュアリに戻ろう。

以前書いたように、2010年の冬に小雪が死んだ後、当初のメンバーで残ったのはソックスと大だけになった。そして、ソックスも2011年6月にいなくなった。姿を見たのは6月12日が最後だ。

ソックスは、数年前から口の具合が悪く、苦しんでいた。それが口内炎だと知ったのは、ソックスの死後、自宅の猫が口内炎になったからだ。

ご飯を食べているとき、ソックスが突然痛みで叫ぶことがあったが、どういうわけか、雪が起こってソックスを平手打ちしていた。つまり、ソックスは雪がまだ元気なころから口内炎にかかっていたのだ。

大と二人っきりになってからは、一気に具合が悪くなったような気がする。私と M さんは、獣医からもらった一番弱い抗生物質を、缶詰にくるんであげていたが、缶詰を食べられる日もあれば、そうでない日もあり、私たちはソックスの食欲に一喜一憂していた。

ソックスに会える日が残り少ないことをうすうす知ってはいたが、いなくなる前の日まで、がんばってご飯を食べていたので、その日がソックスに会う最後の日だとはわからなかった。

ところで、大だが、ソックスと二人っきりになるまで、ソックスにやきもちを焼いてよくいじめていた。猫おばさんたちはそろってソックスが大のお気に入りだったからだ。ソックスは、ちょっと変わった色合いの黒トラで、手足の先が白く、まるでソックスをはいているようだった。それで、ソックスと言う名前がついたのだろう。

ソックスも大も、2002年にはすでに猫サンクチュアリのメンバーだった。たぶんソックスは元飼い猫で、捨てられた直後だったのではないかと思う。ほかの猫にチーズを揚げていると、藪の中に隠れて、にゃあにゃあないていた。

私は、若いときの、ぴかぴかした美しい毛皮のソックスも、毛が唾液でよじれてぱさぱさになったソックスも知っている。ちょっと変わった曲がり方をした長い尻尾も覚えている。

十年近い年月の間、ソックスに会ったのは、週末のほんの数十分だ。なのに、ソックスのことを思うと、どうしてこんなに心が痛むのだろう。

写真は黒雪
 

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